【予測不能な時代】自分らしいキャリアをつくるには?/VUCAの時代のキャリア戦略 [転職・キャリアコラムVol.187]
コンサルタント 伊藤 転職を考えたら(転職活動・情報収集)
2025年8月6日(水)
こんにちは、リンク・アンビション キャリアコンサルタントの伊藤です。
VUCAの時代とは?「正解のないキャリア」にどう向き合うか
ここ数年、ビジネスの現場やニュースで「VUCAの時代」という言葉を耳にする機会が増えました。
VUCAとは
・Volatility(変動性)
・Uncertainty(不確実性)
・Complexity(複雑性)
・Ambiguity(曖昧性)
この4つの頭文字をとった造語ですが、簡単に言うと、「変化に満ちた、先の読めない時代」という意味です。
テクノロジーの進化、グローバル競争、感染症の流行、地政学リスク…。
これまでの大手企業に就職したら一生安泰のような「安定したキャリアモデル」が当たり前ではなくなり、「この先、どのように働けばいいのか?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
変化が激しく、将来が読みにくく、いろんな要素が絡み合っていて、何が正解かもわからない。
例えば、
・「この会社にいて、この先大丈夫なの?」
・「これからどのようなスキルが必要なの?」
・「転職すべき?今のままでいいの?」
そんな悩みを抱えている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
これまでのように「いい会社に入って、長く働く」だけではキャリアは成り立たない時代になっているような気がします。そのような時代は、思いがけない出来事やチャンスをどう活かすかが大事になってきています。
【 目次 】
キャリアは計画通りに進まない。「キャリアカオス理論」
こうした不確実な時代にヒントとなるのが、「キャリアカオス理論」という考え方です。
「カオス」と聞くと、どういうこと?と思いますが、要するに「キャリアは計画通りにいかなくて当然。むしろ偶然や予想外のことからチャンスが生まれる」という考え方です。
例えば、あるメーカーで営業をしていた男性の事例です。
コロナ禍で出張が激減し、時間に余裕ができたので、趣味だった動画編集を本格的に学んでみたそうです。そのスキルが社内で評価され、今では営業と並行して動画マーケティングのプロジェクトを任されているとのこと。製品の動画作成、SNS広告の運用など、新たなキャリアが広がり始めています。
これはまさに「予測不能な環境×自分の行動」が生んだ偶然のチャンスの好例です。
キャリア形成の考え方/「スコア」より「ストーリー」。
キャリアについて考えるとき、どうしても「学歴」や「会社名」「役職」「年収」といったスコアで自分を評価しがちです。どんな大学を出たか、どんな会社で働いているか、何歳で昇進したか、年収はどれくらいか…。いわば「スコア(点数)」で人生を測るような感覚です。
・〇〇大学卒
・△△商事勤務
・30歳で管理職(年収1000万円以上)
そんな「わかりやすい成果」がないと、不安になる方も多いのではないでしょうか。
でも、キャリア心理学者のマーク・サビカス氏は下記のように言っています。
「Not score but story(大事なのはスコアではなくストーリー)」
大切なことは、
「自分がどんな経験をして、何を学び、そこからどんな意味づけをしたか」。
「キャリアは数値や肩書きで決まるものではなく、自分がどんな経験をし、何を感じ、そこからどう意味づけてきたかという物語で形づくられていくもの」という考え方です。
例えば、ある中堅社員の例を挙げてみます。
目立った成果は少なく、昇進スピードも同期よりやや遅め。でもその人は、若手社員の相談に常に乗り、チームの空気を和らげ、少しづつ信頼を集めていたそうです。数字には表れにくいけれど、組織にとって欠かせない存在。
「人の相談に乗り続けた経験」
「組織で信頼される存在になった過程」
これは立派なキャリアストーリーです。
現代におけるキャリア形成のポイント/完璧な未来予想図はいらない
VUCAの時代のキャリアづくりにおいて、意識したいポイントは以下の3つです。
① 完璧なキャリアプランを立てなくてもいい
長期的なゴールがなくても問題なし。
むしろ「今の興味」「目の前のチャンス」に丁寧に向き合うことが、未来につながります。
② 小さなアクションが未来を変える
・趣味で始めたことが本業になる
・ボランティア経験が転職につながる
・副業が新しい仕事の入口になる
変化は突然訪れます。小さな一歩を大切にしましょう。
③ 自分のキャリアを言語化しておく
面接、転職、社内異動…どんな場面でも、「自分はどんな物語を歩んできたのか」を語れることは大きな武器になります。
「どんな肩書きを得たか」ではなく、「どんな経験を通じて、どんな人間になったか」。
その考え方こそが、VUCAの時代におけるキャリア形成のポイントなのではないでしょうか。サビカスは、キャリアを「語ることで形づくられるもの」とも言っています。たとえ目に見える成果が少なくても、そこに自分なりの物語があるのなら、自信を持って良いということです。
変化は怖いものではなく、可能性です。新しい一歩へのきっかけとなります。
「変化をチャンスに変えられる自分」でいることは、誰にでもできることです。
目の前の経験に意味を見いだし、小さな偶然を前向きに受け止め、自分だけのキャリアストリーをつくっていく。そんな姿勢で、この変化の多い時代を一歩ずつ進んでいきましょう。
そのように捉えられたら、キャリアづくりはもう少し楽しく、軽やかなものになるかもしれません。
この記事を書いたコンサルタント
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