その退職理由、伝え方で損していませんか?企業が納得する転職理由とは [転職・キャリアコラムVol.184]
コンサルタント 荒井選考対策(書類・面接)
2025年6月25日(水)
こんにちは。 リージョナルキャリア愛知(株式会社リンク・アンビション)のコンサルタント、荒井です。
面接において高い確率で聞かれるのが「退職理由」です。企業にとっては、その理由に納得できるかどうかが合否を左右する大きな判断材料となります。
今回は、選考結果に大きく影響する「退職理由」の考え方と効果的な伝え方について、ポイントをまとめました。

なぜ退職理由が合否に結びつくのか
企業が面接で重視するポイントのひとつが、「採用後にミスマッチが生じないかどうか」です。
仮に採用しても早期退職となれば、企業にとっては大きな損失となってしまいます。
そのため、退職理由は合否を左右する重要な判断材料となります。
企業側は「退職理由が自社で解消できる課題なのか」「自社の社風や価値観と合っているか」を見極めようとしているのです。
たとえば、「年功序列の社風が合わず、若いうちから実力で評価されたい」という理由で転職活動をしている方がいたとします。もし面接を受けた企業が年功序列型の評価制度であれば、企業側はミスマッチと判断し、採用を見送る可能性が高くなります。
しかし逆に言えば、退職理由を本音で伝えることで、自分に合わない企業からの内定は自然と減っていきます。これは結果としてミスマッチの防止につながり、入社後の定着率を高めることにもなるのです。
つい言いがちな退職理由
以前、「毎月80時間程度の残業があり、土日もサービス残業をしていた」という理由で転職を希望された方がいました。
その背景には、従業員の退職によって1人あたりの業務量が増えたことがありました。
このままでも職場環境の過酷さは十分に伝わりますが、「残業が多い・少ない」という感覚は人によって異なるため、主観的に受け取られやすい内容でもあります。
単に「残業が多いから辞めたい」「ワークライフバランスを整えたい」と伝えてしまうと、「仕事への意欲が低いのではないか」といったネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。
さらに、このような表現は「不満をそのまま伝えている」ように受け取られ、他責的な印象を持たれる恐れもあります。これは残業に限った話ではありません。転職理由は人それぞれですが、ただ事実を述べるだけでは、聞き手には主観的で感情的な印象を与えやすく、「困難があるとすぐ辞めてしまう人」という印象を与えるリスクがあるのです。
だからこそ、もう一歩踏み込んで意識していただきたいポイントがあります。
それは、退職理由を伝えたときに、相手に「それって退職するほどのこと?」と疑問に思わせないことです。
面接官が納得する、転職理由の伝え方
結論からお伝えします。
転職理由を伝える際は、「改善しようと試みたかどうか」をセットで伝えることが重要です。
たとえば、先ほどの「残業が多すぎる」というケースでも、その課題に対してどのように向き合い、どのように解決に向けた行動をとったかを伝えることで、面接官の納得感は大きく変わってきます。
具体的には、以下のような取り組みがあると、説得力が増します。
<例>
・離職者が多く業務が集中したため、上司に人員補強のための採用プロジェクトを提案。自社採用サイトの刷新やSNSでの広報活動などを人事担当者と連携して推進したが、採用には至らなかった。
・ 一人ひとりの生産性を高めるために、部下へのマネジメント強化や業務効率化の見直しを行ったが、業務量の増加がそれを上回り、 解決には至らなかった。
このように、現状に対して当事者として「改善しようと行動した事実」があるかどうかで、面接官の印象は大きく変わります。
退職理由を伝える際は、単に「何が起きたか」という事実だけでなく、その状況をどう受け止め、どのように改善しようとしたのかという背景まで含めて伝えるようにしましょう。
まとめ
「退職理由はネガティブな内容は避けましょう」とアドバイスする転職エージェントも多く存在します。
ですが、たとえば「残業が多い」といった理由を“ネガティブだから”と隠してしまい、「キャリアアップしたい」といった建前に変えてしまうのは本末転倒です。
本音を隠したまま入社してしまえば、結局また同じ理由で悩み、退職することになりかねません。
だからこそ、本当の転職理由は正直に伝えるべきだと私たちは考えています。
そのうえで大切なのは、どんな理由であれ企業が納得できる伝え方に落とし込めているかということです。
最後に
リージョナルキャリア愛知(株式会社リンク・アンビション) では、退職を決意された方はもちろん、「退職するべきかどうか迷っている」という段階の方のご相談も歓迎しています。
面談では、現在のご状況や悩みをじっくり伺いながら、「転職以外の選択肢もあるのでは?」という視点からもご提案いたします。
私自身、状況によっては「まだ退職しないほうが良いかもしれません」とお伝えすることもありますので、無理に転職をおすすめすることは一切ありません。
すでに退職を決めている方とは、誰が聞いても納得できる退職理由の伝え方を一緒に考えていきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を書いたコンサルタント
転職には不安がつきものです。「こんなはずじゃなかった」という転職にならないように、メリットとデメリットをしっかりお伝えしながら、寄り添ってご支援させていただきます。一度きりの転職支援ではなく、生涯のキャリアパートナーとして、転職後も関わり続けたいと思っていただける関係を目指しています。